アインシュタインの特殊相対性理論を勉強してみました。
特殊相対性理論の大前提は、それまで長年科学者を悩ませた、光(電磁波)の速度は、どんな観測者から見ても不変(30万km/秒)だという観測結果です。 つまり、止まっている人から見ても、光と同じ方向に10万km/秒で動く人から見ても、光は同じ30万km/秒で進むという事実です(動く人から見て20万km/秒にはならない)。
アインシュタインは、その観測事実をそのまま認め、光は「光速度不変の原理」という特別な性質を持つものとして、それを前提基礎にして特殊相対性理論を構築しました。 それは従来絶対とされたニュートン力学に修正を迫るものでした。(ただし低速で動く物体に対してはニュートン力学でもほとんど問題は生じません。 特殊相対性理論は非常に高速で動く物体、例えばロケットや放射線などで効果を発揮します。)
特殊相対性理論によれば、それまで誰に対しても等しく絶対的なものと考えられていた「時間」が、実は相対的なものでしかなく、同一の出来事が観測者によって同時刻であったり違う時刻であったりします。
また、自分から見て、動いている物体の中の時間は遅く流れるという不思議なことが起きます(実際に実験で確認されています)。 もし止まっている人から、光速に近い速度で動いている人を見ると、動いている人はほとんど齢をとらないということが起きます。 自分は80歳の老人になったのに、動いている人はまだ10歳の子供に見えるということがあり得るのです。
加えて、動いている物体は進行方向に縮んで見えるという奇妙な現象も生じます。
そして特殊相対性理論の帰結として、上に掲げた 「エネルギー=質量×光速の2乗」 が、 1907年に発表されました。
これは、エネルギーと質量は相互に変換可能で、わずかな質量の消滅が膨大なエネルギーを生み出すことを示しています。 核反応(核分裂と核融合)による巨大なエネルギー創出は、この公式によって説明がつきます。 つまり太陽の輝き(核融合)や原子爆弾・原子力発電(核分裂)はこの公式に従ってエネルギーを生み出すのです。
例えば 1g の質量が全部エネルギーに変換されると、その計算式は、単位をそろえて:
0.001 kg × 300000000 m/秒 × 300000000 m/秒 = 90000000000000 J(ジュール)
この 90 兆 J(ジュール)は広島型原爆の爆発エネルギーをも若干上回る大きさです。 わずか 1g(1円玉の重さ)にも満たない質量を、原子爆弾という装置によってエネルギーに変換しただけで、広島市は壊滅させられたのです。
なお、アインシュタインは、続けてこの理論の拡張に取り組みます。 特殊相対性理論では等速直線運動のみを対象にしていましたが(それゆえ特殊と付いている)、さらにそれに、加速度運動や重力を加えた一般相対性理論を構築しました。
この一般相対性理論によって、宇宙の成り立ちが解明されることになります。 ブラックホールや宇宙の収縮、膨張、宇宙の始まりと終わりなど、宇宙に関する多くの議論の基礎を与えました。
ただ、一般相対性理論の方は、内容が相当に難しいので、ここで取り上げるのはまだまだ先になりそうです。
アルベルト・アインシュタイン( Albert Einstein ) 1879. 3.14.-1955. 4.18.
1922年11月、日本を訪れています。
今では知らない人はいない二十世紀最高の科学者アインシュタイン。 しかし、特殊相対性理論の論文を完成させた1905年、26歳の彼は学者としてのエリートコースには乗れず、特許庁の職員として働きながら論文を執筆するまだ無名の若者でした。
私も、負けじと頭の訓練(老化防止?)のために、この特殊相対性理論を理解してみようと思い立ち、ここ一月ばかり専門書を読んで勉強しました。
結果は、やっとのことで 「エネルギー=質量×光速の2乗」 という数式に何とかたどり着くことができたという程度です。
世間には、「すぐわかる相対性理論」的な安直な書物が数多く出回っています。 ところが、あんなものを読んでも、わかったような「気分」になるだけで、本質を深く理解し応用が利くような能力は身に付きません。
特殊相対性理論自体は、大胆な言い方をすれば、「ピタゴラスの定理」を知っていれば、あとは高校で学ぶ数学(微分、積分、行列式など)で理解できるはずなのですが、実際はなかなかそうはいきません。 かなりの頭脳労働が必要です。 まして文科系の私には相当に困難な作業でした。
その詳細過程はこの紙幅には収まらないので、別の機会に何回かに分けて書いてみようと思っています。
みなさんも一度、「アインシュタイン」 をお試しになってはどうでしょうか。
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