まずこの動画をご覧ください。(ネット上にこの種のものが多数アップされています。)
《 大東亜戦争【不屈の武士道精神】 》
http://www.youtube.com/watch?v=7QQzmAQ7wEc
もし、これをご覧になって共感された方は、残念ながら、右翼国粋主義勢力が言うところの「自虐史観」の撲滅キャンペーンにまんまと嵌められた言わざるを得ません。
この動画の主張は、「大東亜戦争(アジア・太平洋戦争)は、欧米列強による世界支配を日本が阻止した戦いであり、全世界の有色人種の未来を担った戦いだったのである。 侵略戦争なんかでは決してなく、聖戦だったのだ。」ということに尽きます。
しかし本当は、そんなウソくさい言い方をせず正直に、日本も西欧列強を真似て領土拡大と資源獲得を図り、植民地支配国の仲間に入りたかったと素直に言えばいいだけのことです。 少なくとも中国への軍事侵攻は侵略以外の何ものでもありません。
要は、大東亜戦争(アジア・太平洋戦争)とは、日本が周回遅れで植民地獲得戦に割り込もうとして欧米にたたき出され、ボロ負けした戦争です。 ただ日本の侵攻と敗戦の結果として、アジア諸国が訪米列強を放逐する契機を得たことは事実です。
そのことが鬱憤となっている右翼国粋主義者が、こうした動画を作って気晴らしをしているのでしょう。 日本の過去の軍事行動を過剰に正当化し、美化・賞賛することにその目的があります。
ここでさらに、神風特攻をむやみに美化し、お涙頂戴の感傷的気分に耽る悪質な動画もご覧ください。 これではむしろ特攻隊員の尊い遺志に背いているようさえ思えます。 戦争の評価や論議に「感傷」を持ち込むのは禁物です。 理性的判断を阻害します。
《 神風特攻隊 「命の使い方」 ~日本人として知っておきたいこと~ 》
http://www.youtube.com/watch?v=5w5TC4ppsIE
次は、右翼国粋主義者の言う「自虐史観」の洗脳を解く?魔法の動画だそうです。 著名人の真偽の疑わしい発言を都合よく寄せ集めた怪しげなものですが、ご覧ください。
《 10分で自虐史観の洗脳が解ける魔法の動画 (ナレーションつき) 》
http://www.youtube.com/watch?v=BBVhqkQ6_4I
神風特攻隊を扱った小説「永遠の0(ゼロ)」とその同名映画で有名になり、昨年NHK経営委員に任命されるも、右翼的発言で物議を醸した作家百田尚樹氏。 同氏は、これらの動画を観て感動し涙を流したそうです。 (それだけでも、NHK経営委員には不適格だと思います。)
また都知事選に立候補し、石原慎太郎氏と前述の百田尚樹氏の応援を受けるも落選した元航空自衛隊航空幕僚長田母神俊雄氏や、明治天皇の玄孫(孫の孫)を売りにする皇室至上主義者竹田恒泰氏なども、こうした思想を持つ人物です。
特に第二次安倍晋三政権成立以来、こうした右傾化傾向が強まりつつあるのではないでしょうか。 (同首相の靖国参拝強行もその一つ)
これらの動画が表す歴史観は、海外諸国の賛同を絶対に得られません。 むしろ日本を貶めることになり、日本の将来を危うくします。 愛国者である私としては非常に危機感を覚えます。
© 2014 HIRAI HIROAKI