福井地裁前で判決を喜ぶ原告団と支援者の人々 5月21日
関西電力大飯原子力発電所 現在は定期点検中のため稼動を一時停止している
5月21日の福井地裁の大飯原発の再稼働を差し止めるという判決は、どう考えても納得できない判決です。 無実の被告人に有罪死刑を宣告するような酷い判決と言わざるを得ません。 すでに多くの専門家からも批判が相次いでいおり、上級審で覆るのは確実でしょう。
判決理由の眼目は、「大飯原発には1260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である。」 にあります。 確かに判決に言うとおり不可能です。
しかし、不可能であっても、許容できる現実的なリスクついて安全基準を、人間の科学的英知で求めてゆくべきではないでしょうか。
ところが福井地裁の裁判官は、大飯原発に1260ガルを超える地震が来る「確率」を全く考えず、1260ガルを超える強烈な地震が来ないという保証はない(つまり必ず来る)ので、稼動させてはいけないというのです。
この理屈に従えば、「自動車の運行には人命を奪う事故が起きないとの確実な科学的な根拠に基づく想定は本来的に不可能である。」 ので、自動車の製造・販売・使用も差し止られてしまうことになります。
あるいは、いつか必ず巨大隕石が原発に落下するので、原発は稼動させてはならないと言っているのと同じです。 ここにはもう、物事を「確率」によって理性的に考えるという発想や姿勢はありません。
こんな理由で判断されたら、日本中のインフラや大規模産業は全て差し止めの対象になってしまいます。 ダム、橋梁、高速道路、リニア新幹線の建設、自動車の製造販売、航空機の運航・・・
福井地裁の樋口英明裁判長は、「確率」や「期待値」、「リスク」という理数系的考え方を全く持ち合わせていないようです。 この裁判長は、降水確率5%でも、必ず傘を持って外出するのでしょうか。
それとも、原発だけは完全な「ゼロリスク」でなければならないという頑迷な信仰の持ち主なのでしょうか。 (判決要旨の全文 http://www.news-pj.net/diary/1001 )
《 5月26日追記 (質問への回答より) 》
「子供達の未来」を一番に考えて判断すれば、むしろ原子力エネルギーの平和利用が、より不可欠になると言わざるを得ません。
安価で安定した電力の確保は「子供達の未来」にとって極めて重要です。 電気で命をつないでいる病気の子供たちも大勢います。 経済発展も「子供達の未来」にとって大事なことです。 再生可能エネルギーや火力発電では、高価で不安定な電力になり、これらの障害になります。
ドイツの原発ゼロ政策も、失敗が明らかになりつつあります。
さらに、発展途上国では、安価で安定した電力の確保はさらに深刻な問題です。 今後成長してゆくこれらの国々の膨大な電力需要を賄えるのは、原子力エネルギー以外あり得ません。 日本はこれらの国々に、世界最高レベルにある原発技術を供与して貢献すべきだと思います。
原発問題は、感情に流されず、もっと科学的に冷静に議論すべきではないでしょうか。
© 2014 HIRAI HIROAKI
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