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「抗議文」への反論 その3(了)

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行動する保守運動関西地区運営 野本雅樹さんへ
          

最後に最大の問題であり現代にも大きな影響を与えている昭和天皇裕仁について、貴方の見解に反論します。
結論としては、裕仁が「凡庸無能」「人間のクズ」「ボンクラ」「意志薄弱」「優柔不断」「世間知らず」であったことは疑う余地は無く、この言葉を取り下げるつもりはありません。

大東亜戦争(アジア太平洋戦争)で、国民の被った惨禍のほとんど(9割)の責任は軍首脳部の無能さ(戦略の無さ、無謀さ、無計画性、精神論の重視 相互無責任体制等々)にありますが、日本陸海軍の最高指揮権者(統帥権者)であった裕仁にも1割程度の実質的な責任はあります。

以下に理由を述べます。
まず、貴方の「抗議文」には、裕仁は「立憲君主である以上、政府の決定を拒否することはできず、拒否することは憲法を無視することになり(下線は平井)とありますが、明治憲法には天皇が意見を述べることを禁じる規定も無ければ、政府決定を拒否することを禁じる規定もありません。(あるというならお示しください)
裕仁が米英との戦争に反対であるなら、政府を動かし得る何らかの強い意志表明はできたはずであり(実際二・二六の時はそれを行なっている)、それをしなかったのは、ひとえに裕仁の意志薄弱さや優柔不断さが影響しています。
      

裕仁の戦争責任と言えば、近衛文麿の上申に反対し却下したということだけでも十分です。
1945214日、近衛文麿の早期講和の上申に対し、
天皇裕仁:「もう一度、戦果を挙げてからでないとなかなか話は難しいと思う。」
近衛文麿:「そういう戦果が挙がれば、誠に結構と思われますが、そういう時期がございましょうか。それも近い将来でなくてはならず、半年、一年先では役に立たぬでございましょう。」
        
結果、裕仁と軍首脳部は「国体護持」にこだわり続け、勝ち目のない戦を半年間だらだらと続けることになります。
そして、近衛文麿の予言通り、3月以降に一般市民の膨大な犠牲が生じてゆきます。3月10日:東京大空襲、3月~:主要都市への無差別爆撃、4月~:沖縄戦、8月6日:広島への原爆投下、8月9日:長崎への原爆投下、8月9日~:ソ連の暴虐的軍事侵略とシベリア抑留。
こうして膨大な一般市民が犠牲になった後で、ようやく8月15日戦いを終えることを国民に告げることになったのです。
結果論だと言われるかも知れませんが、この遅すぎた終戦の責任のかなりの部分は、裕仁の優柔不断にあると言えます。
     
次に、マッカーサーとの会見で裕仁が発したと言われる「私の命はどうなってもいいから国民を救ってほしい。」というのは、昔からある胡散臭い「美談」です。この言葉はマッカーサーの回顧録にあるようですが、彼の回顧録ぐらい虚偽に満ち溢れていて、あてにならないものはないことでも有名です。彼は極めて虚栄心が強く自分を美化する傾向が非常に強かったといわれます。
裕仁がそう言うので自分の寛大な心で赦してやったということを、心地よいエピソードとして自慢げに示すために、でっち上げた話というのが真相のようです。
従ってそんな言葉は、日本側の外務省公開の公式記録には一切ありません。
  
マッカーサーはこの会見で、日本国民の裕仁への崇拝洗脳状態が極めて強いことを知って(裕仁自身からそう話したのでしょう)、これは処刑するより、生かして占領政策に利用した方が得策だと判断したのです。裕仁は自分の利用価値をマッカーサーに売り込みに行って、それに成功したということでしょう。

           

さらに念のため、一昨年9月に宮内庁が公表した「昭和天皇実録」にもあたってみましたが、「昭和天皇実録」は、裕仁・マッカーサー会見で交わされた会話については、唯一マッカーサー回想録にそれらしき記載があるものの、外務省と宮内庁が2002年に公開した日本側の公式記録には一切そのような発言は無い旨を記しています。
ともかく日本側の政府公式記録には、裕仁・マッカーサー会見の会話内容にまで触れたものが一切なく、「昭和天皇実録」においても、マッカーサー回想録にのみ記載があるものの、日本側公式記録には全く無い旨の両論併記の形になっています。

裕仁自身も「あの時の話の内容はマッカーサーと私だけの永遠の秘密にしようと二人で決めた。男の約束だ」と語り、生涯明かさないまま198917日死亡しました。
ゆえに、マッカーサーとの会見時の「美談」は、私は全く信用しません。
         
これまで、裕仁を美化礼賛したい右派勢力(渡部昇一や中西輝政など)は、マッカーサーの回顧録やそこから派生した様々な情報をひねくり回して相当努力したようですが、結果はことごとく失敗しています。
野本さんは、このようないい加減な都市伝説的美談や右派論客の胡散臭い話に惑わされず、裕仁の実像をもっと直視し謙虚に学ぶ必要があります。

        

先の大戦で、彼の真意とは無関係に「天皇裕仁」の名のもとに多くの人が苦しめられたことは事実です。 明示憲法では天皇は日本陸海軍の最高指揮権者(統帥権者)でもあったため、無謀な侵攻作戦も玉砕も特攻も全て「天皇裕仁」の名において命令されたことになり、誰も逆らえなかった。
                
裕仁は、先の大戦で国民が命までささげた相手としては、あまりにお粗末な人間でした。戦後の言動もまるで無責任そのもの。最低限の「説明責任」さえ果たさず死にました。戦没者はあの世でこの裕仁の実態を知り、さぞ恨んでいることでしょう。
    
以 上(了)



© 2016 HIRAI HIROAKI 無断転載禁止 

 

                               
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