先日、このブログ記事を書くにあたり、宮内庁に電話で問い合わせをしたところ、天皇陵墓管理部門の責任者A氏が、雑談も含め四十分近くも話に付き合ってくれました。
私がまずA氏に伝えた内容は次の通りです。(一言一句違わずこの通り話しました。)
『 皇国史観信奉者や右派保守系の人たちはこう主張しています。
日本は、初代神武天皇以来万世一系で天皇の血筋つまり皇統を二千年以上一度も途絶えることなく継承し、その間ずっと天皇は民衆から崇敬され君民一体の国体を保持してきたと。
もしそうだとしたら、なんで天皇陵があんなに草ぼうぼうで雑木林になり荒れ果てているのか、長年手入れや修復などされた形跡もあまりないようです。
あの仁徳天皇陵古墳でさえそんな状態です。 墓守が居た気配もないし、とても尊崇の念をもって管理されてきたようには見えません。
実は日本の歴史では、ほとんどの期間、天皇などどうでもいい存在であり、まして敬うという対象では全くなかった、そのことを天皇陵古墳の現在の姿が物語っているのではないでしょうか。
実際に一般民衆が天皇を強く意識したのは、大和朝廷の支配が完了した七世紀後半から平安時代初期までの百数十年と、明治政権確立から敗戦まで強制された七十年ほどの間だけです。 天皇陵古墳の管理も明治になって急に始めたようですね。』
以上のとおり伝え、意見を聞いてみました。 色をなして反論してくると思いきや、A氏は特に否定する風もなく、そのような考えも当然あり得えますと、意外にも肯定的で淡々とした言葉を返してきました。
A氏によると、天皇陵古墳といえど、武家政権時代にはほとんど顧みられることなく、正直言って荒れ放題のまま放置され、盗掘や破壊さえされている。
当時の農村民にとっても、神聖な崇敬対象の陵墓と言う意識はなく、陵墓に繁る雑木林から薪を切り出したり、堀の水を田畑の灌漑に使う、陵墓自体を耕作地にしてしまうなどの形で、生活の場や道具として使っていたのが実情だった。
また草木が繁っている方が、陵墓が崩落しにくいということもある。
そんなわけで、近隣農村民との共生の場でもあったので、現在のような姿になっている。
宮内庁としても、現状維持を基本とし造営時の姿に復元するつもりはない、とのことでした。
次に学術調査のための発掘を許可しない理由をA氏に尋ねました。 もしや皇室に不都合な事実(万世一系ではない等)が発覚することを恐れてのことではないのかと質問したところ、そうした批判や種々要請があるのは承知しているが、宮内庁としては現状のままで特に問題ないと判断しているとのことで、明確な理由は聞き出せませんでした。(実際、仁徳天皇陵古墳も学術発掘調査が実施されていないため、仁徳天皇の陵墓とは確定していません。 よって近年の教科書等では「大仙陵古墳(伝仁徳天皇陵)」といった記載に改められています。)
実は宮内庁に問い合わせをするのは、今回が初めてではありません。 記事の正確さを期すため、宮内庁にはこれまでかなりの回数問い合わせをして情報を得ています。
それらのやりとりから得られた印象は、宮内庁には、皇国史観の持ち主や皇室崇拝者など全く存在せず、いたって健全で冷静で、しかも優秀な公務員が配されているということです。
ここからはあくまで推論ですが、こうなると、戦後の高等教育を受けた現天皇明仁も、皇国史観の信奉者ではないことは明らかです。 上記青字で記した神武天皇の遺伝子を、自分が受け継いでいるなどという荒唐無稽なことを、本気で信じているわけはあり得ません。
さらに彼の子の徳仁や文仁、彼の孫の愛子、眞子、佳子、悠仁に至っては、到底そんなバカげたことは微塵も念頭にないと予想できます。
彼の実父で前天皇の裕仁も、少なくとも後半生はそうだったでしょう。
要は、神武天皇以来2675年万世一系日本は天皇中心の神の国なんて騒いでいるのは、皇室を取り巻きヨイショする変な人物、天皇カルトつまり天皇崇拝主義者や右翼タカ派のおバカな連中のみです。
日本最大の保守主義団体「日本会議」の主要メンバーがそれに該当し、2月13日のブログで取り上げた人物の中の、渡部昇一、小堀桂一朗、平沼赳夫、西尾幹二、田母神俊雄、西村眞悟、百田尚樹、竹田恒泰などもそれに重なります。
こうした皇国史観信奉者や右派保守系の人たちは、勝手に自分の頭の中に「日本は万世一系の天皇を中心とする神聖な国」を作り上げ、その妄想に耽ることで快感を得る不健全なことをしているだけです。
早く目を覚まし、そんな「お花畑」から抜け出すべきなのに、それができない彼らには憐れみすらおぼえます。
上空から見た現在の仁徳天皇陵古墳(大阪府堺市大仙町) 面積では世界最大の墓
仁徳天皇陵古墳を近くで見ると、草ぼうぼう雑木林になって荒れ果てていることが分かります。 造営当時の面影は全くありません。
仁徳天皇陵古墳の復元模型。 天皇陵はどれも造営当時はこのように整備された姿でしたが、いつしか忘れ去られ荒れ放題に放置、粗末にさえ扱われてきました。
こちらは実物大で造営当時の本来の姿を再現した五色塚古墳(兵庫県神戸市垂水区)
復元された五色塚古墳。造営当時の陵墓は全面玉石で覆われ埴輪が配置されています。 仁徳天皇陵古墳も造営時はこのような整備された姿をしていたはずです。
(敬称略)
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