久しぶりに目にした高橋和巳の著書
高橋和巳(たかはしかずみ) 1931. 8.31-1971. 5 .3
全共闘世代の学生運動家に読者が多かったようです。 京都大学の構内にて
1969年9月6日に行なわれた、高橋和巳と三島由紀夫の対談『大いなる過渡期の論理―行動する作家の思弁と責任』
この対談の翌年、三島由紀夫はあの衝撃的な事件(⇒ http://ameblo.jp/hirai-h/entry-11232774673.html)を起こし45歳で割腹自決、翌々年には、高橋和巳が39歳の若さで癌により亡くなる。
子供を抱き嬉しそうな表情を浮かべる
自宅でくつろいでいるところか
先日書庫を整理していたら、二十歳代に読んだ「高橋和巳全小説」が姿を見せました。(上の写真二枚)
中を見ると、書き込みがたくさんしてあり、当時貪るように熱心に読んだことを思い出しました。
高橋和巳といえば 、左翼的思想を根底に持ち、全共闘世代(1965年から1972年までの、全共闘運動・安保闘争とベトナム戦争の時期に大学時代を送った世代)の学生に強い影響を与えた作家・社会思想家です。
全共闘世代の学生は、昨今の学生とは違い、社会問題を真剣に思考し解決を図ろうと苦悩していたようです。 そんな時代の在りようが、高橋和巳を快く迎え入れたのでしょう。
もっとも、私は全共闘世代より少し後の世代で、これを読んだのも、大学を卒業し就職して間もない頃、既に学生運動は完全に抑え込まれ終息していました。
文体の特徴は 重苦しく重厚で陰鬱、中国文学者でもあったためか、難解な語彙や漢語が多用され、とてもスラスラ読める代物ではありません。
一言で言えば超硬派の小説で、脳をフル稼働させねばなりません。 が、それがかえって内容を深く心に食い込ませ、共感や同意と反発を惹き起こしました。 ページのところどころに、当時思ったことを走り書きしてあるのを見ても分かります。
高橋和巳 は、賞というものには、ことごとく縁のない作家でした。
しかし間違いなく、ほぼ同世代の三島由紀夫や大江健三郎より水準の高い優れた作家です。
政治・経済・社会・文化・戦争・宗教などの問題を深く掘り下げ、知識人のあり方の具体例を示してくれています。それは決して単純で薄っぺらな反権力左翼というものではありません。
特にその深い思索には驚かされます。また右翼的思想の三島由紀夫とも交流があり、対談をするなど人間的幅の広さがありました(上の写真参照)。
さらに文学以外の分野、アインシュタインの相対性理論などにも興味を持ったそうです。(なお同氏の経歴等の詳細をここに書くと長くなるので、ウィキペディア等を参照ください。)
しかし惜しくも癌により39歳の若さで亡くなりました。
高橋和巳は今生きていれば83歳、三島由紀夫は90歳、まだ執筆活動可能かもしれません。それぞれどんなことを書き、語り、意見を交わしたことでしょうか。
今どきの学生や若い世代には、高橋和巳なんて流行らないかも知れません。それどころか名前すら知らない人も多いでしょう。
たしかにお手軽な小説ではありません。とっつきにくい超堅物です。
しかし、読んでみる価値は十分過ぎるほどあります。皆さんも一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
毎年ノーベル賞候補に浮かされる村上春樹なんかとは、全く違った魅力があります。
(敬称略)
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