「抗議文」への反論は非常に長くなりそうなので、数日に分割して掲載します。 まず、私の「天皇」なるものへの基本的考え方を述べますのでご理解ください。 現代の天皇とは、千数百年前に豪族同士の武力抗争を勝ち残り、西日本を武力統治した豪族の親玉の子孫「かも知れない」というだけの存在であり、そのこと自体に特別な価値は無い。そんなものを畏れ多い存在や、ありがたい存在、敬うべき存在とはとても思えないのです。 天皇一族が権力と権威を有していたのは、千数百年前の大和王権成立期(5世紀頃?)から、せいぜい平安時代中期まです。その後鎌倉武家政権になると権力はほぼ完全に喪失し、権威も大幅に失墜します。 そして、「一般民衆」が「自発的に」「心の底から」権威ある天皇を敬ったという事実は、千数百年前の大和王権時代から現在まで、ほとんど無いと言えるでしょう。実際、一般民衆側の記録にそのようなものはめったに見当たりません。(もしあればお示しいただきたい。) 「抗議文」にある「君民一体」や、皇族近親者を笠に着て皇室翼賛思想を撒き散らす竹田恒泰氏が言う「君民共治」などは、皇室礼賛者の妄想(脳内のお花畑)でしかありません。 歴史上、こうした美談は権力者側の意向によって、御用学者的な人間がでっち上げるのが世の常です。古事記や日本書紀は、歴史書として極力事実の記録に努めたものではあるものの、あくまで政権保有者たる天皇の意向を配慮して作成されたことも忘れてはなりません。(現在でも、もし共産党が単独で強固な政権を獲得すれば歴史教科書も相当変わることでしょう。) さらに、特に武家政権時代になると、天皇は完全に形骸化しレイムダック(死に体)の状態でした。そこで武家政権は、天皇に残った僅かな形式的儀式的権威だけをうまく利用しました(将軍の任命等)。もはや天皇一族は、武家政権にとって、わざわざ武力でを滅ぼすほどの存在ではなくなっていたのです。 殊に江戸幕府は、天皇族取締法たる「禁中並公家諸法度」を制定し、天皇一族を徹底的に政治と世俗から遠ざけ弱体化図りました。天皇一族を厳しく監視する役所も京都に置きました。 江戸時代の一般庶民がそんな天皇を心から敬ったはずもなく、崇拝したなどという記録もありません。江戸時代以前で天皇のことを知っていたのは一部の学者と上級武士だけだったでしょう。 ところが幕末明治維新で状況は一変します。天皇は従来にない特殊な状況に置かれました。維新で倒幕側勢力(長州・薩摩)が、政権奪取の名目として、レイムダック(死に体)状態だった天皇を軽くてパーな神輿として担ぎ上げたこと、およびその後明治憲法で西洋をまねた君主(皇帝)の座に天皇を置いたことです。このことにより、古代からの天皇とは全く性格の異なる天皇が新たに生まれました。天皇は、西欧への対抗上、「統一国民国家」成立させるための君主(皇帝)に擬されることになったのです。 明治憲法で、天皇を主権者とし神聖不可侵の性格を与え全国民をその臣民とし崇拝を強制しました(義務教育が果たした役割が大きい)。 政府権力は、一般国民をこうした洗脳状態下に置くことにより、天皇の命令に絶対服従する臣民の育成に成功します。こうして明治政権は、徴兵制導入や富国強兵に天皇を大いに活用したのです。その後全ては天皇の命令(勅令)だとして事を進められたわけです。そうして天皇を中心とする(利用する)国家統治体制(いわゆる「国体」)が戦前戦中維持され続けましたが、1945年の敗戦で崩壊します。 しかし敗戦後も、こうした天皇を中心とする(利用する)国家体制の考え方の残滓が、右翼保守勢力に受け継がれ、また国民も洗脳状態から完全には抜け出せない状況にあります。 野本さんもそうした人々のひとりであることを認識してください。 以上、極めてドライで冷徹な見方だと感じるでしょうが、これが歴史の真実です。 またこういう見方こそ今後の日本にとって重要だと考え、右派系の人々が好む甘ったるい天皇ヨイショ的考え方に与するつもりは全くありません。 なお「抗議文」の各論点に関する個別の反論は次回以降掲載します。
行動する保守運動関西地区運営 野本雅樹さんへ
また天皇の血統が途切れず現在まで繋がっているという、いわゆる「万世一系」は証明のしようがありません。昨年3月6日宮内庁に取材した際、宮内庁ですら「万世一系」は肯定も否定もできない、つまり「万世一系」とは断定はできないとのことでした。⇒ http://amba.to/18on3wu (青文字をクリックすると2015年3月7日付関連ブログ記事が別ウィンドウで開きます)
以 上 (後日に続く)
※「抗議文」の内容については 2016月3月24日付ブログ記事『「抗議文」(行動する保守運動関西地区運営 野本雅樹氏より)到着について』⇒ http://amba.to/29XiBWP をご覧ください(青文字をクリックすると別ウィンドウで開きます)。
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相変わらず、私(平井宏明・日本再生投資(株)代表取締役社長)になりすまし、ネット上のあちらこちら(例えば右翼・保守系ブログや政治家・芸能人等の有名人のブログ・Twitter)に、私の名でくだらない愚劣な書き込みをするケースが多数発生しています。私に無関係な、嫌がらせ、悪ふざけ、他人を騙る虚偽発言、茶化し、暴言、脅迫など悪質なコメントが多数ばらまかれています。
また、私が他の多くのブログやサイト等で、いわゆる「荒らし」を行なっているとか、多数のハンドルネームを使い回して嫌がらせの書き込みをしているなどの虚偽の情報が流されたりもしています。
私が政治経済社会問題に関してネット上でやり取りがあったのは、竹田恒泰氏とその支援者1名、百田尚樹氏、櫻井よしこ氏、田母神俊雄氏(2014年4月17日分まで。それ以降の書き込みは私の名を騙る偽者です。)、津川雅彦氏(2014年3月25日分まで。)、大日本皇國氏、衆議院議員長尾敬氏の8名のサイトおよび「BLOGOS」,「NEWS PICKS」,「iRONNA」,「THE HUFFINGTON POST 」,「アゴラ言論プラットフォーム」というオピニオン投稿・議論サイトに限られます。これら以外のサイトには一切関係していませんのでご注意ください。